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茶寮黒猫亭 壱:花朧

璃果

璃果

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12月27日朝7時頃をもってコンビニマルチコピー機での配信、終了致しました!

静か~に地味~に展開する物語だからか地味~にちまちま~っとプリントして頂いたようでしたw お手元にお取り寄せ下さった皆様、ありがとうございます。

配信終了ということで、こちらでの公開を開始致します。こちらの公開で読もうと思っていらした方、お待たせ致しました~。

何も起こらない敵が攻めてこない、ひたすらにとろとろまったりと進むおはなしですが、楽しんで下さった方もいらっしゃるようで嬉しかったです。
この先も基本まったりまったり進みます。

実は書いた当初はこのおはなしから始まってました。で、気づいた。

待て待て待て。和風かふぇうんたら言っておいていきなりコレはねえだろ、と(笑)。かふぇ要素が微塵もねえ!!www

なので、カフェ(?)でのふたりのお話がないとまずいぞ、ついでにそれを序章にして雰囲気を掴んでもらって、お気に召した方に先に進んで頂こう、と思いまして、序章の「初音」が生まれました。

花朧、春の季語。
ぼんやりとかすんでいるさまを表す「朧」は、基本夜に通じるもの(朧月夜、とかですね)なので、麗らかな朝の情景とはちょっとちぐはぐです。
少しだけ晴れないミカサのキモチやどんな経緯で今のふたりの生活があるのかまだわからないことをいめーじして。

ってことにしてくんねえか。

闇とまではいかずとも(どっかのすくかーのひとたちみたいにw)、翳りくらいはやはりあるものです。巨人は居ないし血を流して戦うことのない世界でも。
ソメイヨシノの淡いピンクが夜を抱いてほんのり光を放ってるみたいな春の夜と、女の子の心の中の小さな小さな影。
そんなカンジ~うっふふー(ローラ風味)。

読み返すと、本当に私はモノ食わせるのが好きだな、と思いました。
朝早めに起きて一緒に作って(と言ってもメインはリヴァイさんが作るのですが)、一緒に食べる。可愛いにゃん二匹も一緒です。
そして、安定のりか長。ミカサに餌付けして甘やかす。ミカサに食わせるためにいちいち土鍋でごはん炊くんだぜ?(慣れてしまうとラクだし、断然美味しい、という感想をよく見ます)
ぶつかり合うけんかっぷるな二人とかかっこいい二人はヨソにお任せして、こちらでも基本大人りばいとがーりーみかさで参ります。
めりけんのJKも楽しいけど、ニホンのJK(と言っても私学の女子校だが)も書いてて楽しいぜ!
あれとかそれとか資料的なもの集めたり目を通すのが大変だぜ!(などとヌカしておりますが、それほどごたいそうなモノではないw 知識とセンスのなさを誤魔化すのに必死)
ボツを何度も繰り返して、もうこれダメかも、と思ってましたが、なんとかイイカンジに自分の中に固まってきて、俄然楽しくなってきました。良かった!

次回配信は年明けになります。ある意味季節感はぴったりかもしれない。
お待ち頂ければ幸いです。

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 冬に猫を拾ったのはこれで二度目だ。最初は去年だった。二匹一度に拾ったのだ、三匹もそう変わらないだろう。問題なのは三匹目が人間の少女だということだ。







「店長。支度が出来た。りぼんとすかーふのごはんは?」
「今やった」
 リヴァイは立ち上がった。猫二匹は目の前の朝食に夢中になっている。きっとまたあっという間に器が空になるのだろう。
「お味噌汁、よそってもいい?」
「ん」
 ミカサがコンロに向かうとリヴァイは土鍋の蓋を開けて茶碗としゃもじを手に取った。ふあん、と炊きたてのごはんの香りが漂った。少し香ばしいのはおこげのせい。
「今日のごはんはうまくいった! と思う」
「悪くねえ。てぇか、別に昨日のだって悪くなかったろ」
「でも、ちょっと芯があったカンジ」
「気になるほどじゃねえよ」
「店長のように炊くのは難しい」
「まあ、こっちは一応プロだからな」
 いつものように一緒にテーブルについた。
「いただきます」
「おう」
 ミカサが味噌汁の椀を持って静かに啜った。
「んん、美味しい! 店長、春玉ねぎ、甘くて美味しい」
「そりゃ良かった」
 ととと、と猫がダイニングに戻ってきた。ミカサとリヴァイの足元をにょろにょろと歩き回る。甘えるような声で鳴いては身体をそれぞれの足にすりつけてきた。
「もう食っただろ。人間サマの食うもんだ。なんもやらねえぞ」
 不機嫌そうに呟く割に猫を見下ろす表情は穏やかだった。ミカサは卵焼きを食べながらくふんと笑った。店長は名前もつけてなかったしただの成り行きだって言ったけど、結局大事にしてる。
 私のことも拾ってくれた。成り行きで仕方なくだけど、置いてくれて部屋をくれて学校に通わせてくれて、働かせてくれる。いいひと。仏頂面で愛想がないけど。
「今日の日替わりメニュウ、なんですか」
「鰆の西京漬にするかと思ってる。汁物はコンソメ・ドゥ・ポワソンに白髪ねぎでどうだ」
「いい。旬のお魚。味が被らないようにお味噌汁じゃなくてコンソメ?」
「ん。魚同士悪くねえかと思ってな」
「素敵。おすましじゃなくてひねってきた!」
「たまにはいいだろ。何しろかふぇーだからな」
 少し早めに起きるのにも慣れた。こうしてゆったりと朝食が摂れるのはなんだか気持ちが豊かになるような気がする。ミカサは焼いたスパムを口に放り込んだ。ほんの少し緑果オリーヴ・オイルを塗ってありフルーティな香りが広がるところがいい。何より、一緒に食べる誰かが居る、というのは、大事だと思う。
「あとな、この前お前がつくったおからのガトー・ショコラ風、あれちょっと手ェ加えて店に出すことにした」
「ホントに!?」
「ああ。アレよりもう少し甘さ強めにして、抹茶と合わせるのも悪くねえだろ。紅茶でも煎茶でも悪くねえよな」
「嬉しい!」
 店長は、優しい。私なんかを拾ってくれた。高校だって、転校も覚悟してたのに。今もこの制服を着ることが出来てる。おばあちゃんとお母さんも行った学校。
「オイ。じゃれんじゃねえよ。やらねえって言っただろうが」
 膝の上に載ってきた黒猫に言いながら、ほうれん草をむしゃりと食べた。
「仕方ない。りぼんは店長がだいすき」
「メシくれてやる限りはな。クソ、なんで毛にまみれてメシ食わなきゃならねえ」
 首に赤いリボンをゆったりと結んでいるメスの猫は全身真っ黒で少しすまし屋だったが、リヴァイには甘えてよくじゃれる。りぼんより少し身体の小さいオスのすかーふも当然よく懐いているのだが、ミカサがより甘やかしがちだからか寄ってきては撫でろ構えと要求してきた。顎から胸にかけてだけ白い毛があり、スカーフを巻いているようだった。
「すかーふも、店長がすき」
 もう一匹も膝によじ登ってきた。二匹の猫を抱える羽目になりながらも、リヴァイは黙々と朝食を食べていた。
「三匹目。お前は膝に載らなくていいのか」
「私は猫ではない! ので、しません!」
 まただ。猫と同列扱いはいつものことだった。そうやって、子供だからとからかってくる。表情ひとつ変えるでもなくしれっと澄ましたままで。
 両親の代わりに育ててくれた祖父母すらこの世を去った時は、もう世界の終わりのように思われた。親類は元々それほど交流もなかったこともあって、誰もミカサを引き取ろうとはしなかった。当然だ。どの家庭も自分の子供や生活を守るので精一杯なのだ。恨みなどない。だが、大人の存在なしにはあらゆることがどうにもならないものなのだと痛感して、如何に自分が守られてきたのかを再認識させられた。
「俺んとこ来るか。店手伝って食い扶持稼ぐ気あるなら置いてやる」
 弔問に来てくれたのは、遠縁に当たる少し離れた町のカフェを営む男だった。ミカサがよく知らなかっただけで、祖父母とはそれなりに交流があったのだと言った。行政側も遠かろうと血縁者の存在を歓迎した。当然だろう。
「お前のがこいつらよりなんぼかマシだ。毛はまき散らさねえからな」
「いくらかマシ? いくらか? ……咬みつきますが?」
「ほう。やってみろ」
 猫二匹がねだるように鳴いても頭をこすりつけてもそ知らぬ顔だ。時折むっとした顔で、用意していたおしぼりで猫を軽く押しのけた時に手につく毛を拭う。
 ヴェランダからは麗らかに陽が射し込んでいた。一緒に朝食をつくって、食べる。猫に餌をやる。取るに足らぬ会話をする。ありがたいものだ。当たり前にあった頃には、それほどしみじみと思うことはなかった。
「オラ、食い終わったら出る支度しろ」
「わかってます!」
 行きも帰りも車を出して送迎をしてくれている。年頃の娘の一人歩きは危ないから、と言って。素っ気ないクセに、気遣いは誰よりもうまい気がする。何が出来るでもない私を引き取って居候をさせてくれるだけでもありがたいのに。祖父母と暮らしていた家から通うよりは遠くなったのは事実だが、電車でも十分通えるのだ。
 ――ガキのうちは甘えとけ。大人になって一人立ちすりゃイヤでも甘えるチャンスが減るんだからな。
 ミカサは食べ終えた食器をシンクに運び込んだ。使った食器の類は全て洗ってから家を出ると申し出ていたが、必要ないと断られていた。私にはそんなことくらいしか出来ないのに。
 何か見つけないと。やりたいこととか、やってみたいこととか。
 祖父母に世話になっていた頃は、二人に負担をかけないことが第一で、それなりに家のことは出来る。だが、それ「だけ」だった。ミカサは項垂れた。
「どうした。鞄持ってこい」
 ヴェランダの向こうでミカサの代わりに桜が笑っていた。
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