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まじょのそだてかた。 ―魔女集会的りばみかTwisted

璃果

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やまもおちもいみもない、おっさんとろりなりばみか

あたまをつかわずによめます!

Twitterで仲良くして頂いている方からリクエストを頂いて
数時間で誕生してうpされたみじかくてあほっぽいおはなし。
ちょっとだけ加筆修正しました。へんたいなおまけつき。

流行りの「魔女集会」の変則ver.
魔女ミカサと仔リヴァイでSS書いていた時に
「人間の野郎が魔女を拾って育てる」というぱてぃーんあってもいくね?
と呟いたらご希望頂いて書くことになりました。
時代設定や舞台は曖昧にしたのでお好みで脳裏に展開させて下さい。
考えてたら脳みそ追いつかなくなったとかそんなことはない。

また、Twitter上で「魔女集会的りばみかSS」を不定期更新中です。
興味のある方はこちらからどうぞ。

原作の展開が辛すぎる
ろりに癒されたい
おっさんは小柄で仏頂面がいい(文章なのでわからないです)
ほのぼのがいい

そういう方におすすめです。

本文中書いていませんが

リヴァイ…フリーの傭兵(常に転々)

ミカサ…フリーダムな妖精(可愛さ的な意味で)、5歳前後、まじょ(自称)

みたいな設定がうっすらあります。

20180219



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「わたしをひろってくれてもいい」

 黒髪の少女が目を潤ませて呟いた。歳の頃なら七、八歳…いや、まだ五歳くらいかもしれない。子供のことなどわからない。男はそれを横目で見るとそのまま歩いた。町から外れた人気のない田舎道で人間に出くわすとは思ってもみなかった。まみえるのは大抵獣か盗人の類だ。
 くすんだ空、冷えた空気。魔物はこんな時期にでも出るものだろうか。狡猾にも少女のカタチをして。そもそも魔物などと出現するものか。恐ろしいのは常に人間だ。領土の面積を増やしたい一心でひとを簡単に屠り大義名分をかざす。

「まて!」

 男は振り返らない。

「こんなかわいそうなおんなのこをむしするなどおかしい!」

 ぎるん。男は立ち止まり振り向いた。眉間に深く皺を刻み、不機嫌そうに。

「可哀想な女の子とやらを無造作に拾うおっさんはどう考えても変態か犯罪者か変態の犯罪者だ馬鹿野郎。何の用だ」

 少女は得意げに言い放った。

「わたしはいだいなまじょ! に、なる、よてい!」
「そうか。俺は独り身のおっさんで何十年か後に死ぬ予定だ。せいぜい頑張れ。じゃあな」
「まて!」
「俺は犬か」
「いまわたしをひろうといいことがある!」
「あ?」
「もうひとりわたしをぷれぜんと! おとく!」
 いつ取り出したのか、手に似たような格好をした人形を持っていた。
「おまけ商法でおっさんが釣れるか。ターゲット絞れ。だいたいマジでもうひとりいやがったら面倒増えるだけじゃねえか。そもそも独り身の野郎が女児二人も連れ帰ったら牢屋でれっつぱーりーだ。そういうのがシュミか。爛れてんな。まだガキなのに残念な頭しやがって」

 少女はぶるぶると震え出した。黒い鍔広の三角錐の帽子、黒のマント、黒のドレス、黒のブーツ。何故か首には赤いマフラーを巻いている。背中まで伸びた黒髪が時々風にゆれた。

「かえるいえがない。おとうさんもおかあさんもいない。ひとりはさむい。ひとりはきらい。わたしはどこにかえればいいの」

 ――母さん。ごめん。俺が子供じゃなかったら助けられたのに。ごめん。何もしてやれなくてごめん。

「両親、居ねえのか」
「おほしさまになった、といわれた。……わたしはこどもではない。しんだことくらい、わかる」
「ガキだろうが。……お前、何が出来る」

 ――母さん。俺に何の力もないせいで。俺にもっと力があれば。

 少女は仏頂面の男の顔を見上げた。不機嫌さを隠しもせず苛立ったように見えるが、……その目はとても美しく見える。母と見た冬の明け方の空に似ていた。白みがかった甘くぼやけた淡い薄い灰色に、僅かなあおが混じる。
 少し小柄な方ではなかろうか。父はもっと背が高かった。だが、父よりも若く見える。頭が小さく手足が長い。
 少女は少し微笑んで、マントの内側にごそごそと手を入れて探っている。

「えい!」

 取り出した杖の先には透明な黄色い五芒の星がついていた。それをふるん、と振ってみせる。
 ああ、このガキは本気で自分が魔女だと思ってんのか。男は目を伏せて小さな少女を見つめた。

「……!」

 我が目を疑う、とはこのことだ。その辺りに何気なく生い茂る繁みに、一瞬で彩りが加わった。くすんでいた世界がまるで息を吹き返したようにまばゆい変化を遂げる。

「おはなをさかせられる!」

 少女は胸を張って言いのけた。黒い瞳が輝いている。周囲には色とりどりの花が咲き誇っていた。そんな季節ではない。そもそも、蕾すらつく時期でもない。

「そうか」

 男が手を差し出すと、泣くのをこらえていた少女が手を差し出した。小さな手は随分と冷えていた。小刻みに震えている。

「お前、名前、なんて言う」
「みかさ!」
「そうか。……行くぞ」

 華奢に見えた男が少女を軽々と抱き上げた。視界が変わり、少女は思わず周囲を見渡した。
 おとうさんがしてくれるよりひくいけど。いいながめ。じめんより、そらがみえる。

「あなたは? なんていうの? おっさんてよべばいい?」
「お前には躾が要るな。……リヴァイだ」
「りわ、りぶぁ、りばい、…りばい。むずかしい」
「そうか。そのうち慣れるだろ」
「わたしにできないことは、ない!」
「出来ねえことだらけじゃねえか…」


 りばい、これたべる?
 あ? そりゃ杖じゃねえのか。
 このおほしさま、おさとうでできてる! なかなかおいしい、ので、たべていい!
 …魔法かけんのに使うんじゃねえのかよこのクソガキ…。
 まだいっぱいある! えんりょはしなくていい! みて。かわいくてきれい、しかもおいしい。すばらしい!
 お前が食え。頭の中の花畑に栄養くれてやれ。


「ふだんは自分の足で歩け。今日だけ特別だ」
「うん! しかたない、だっこさせてあげる! でもありがとう!」
「テメェ…」

 嬉しそうに笑う魔女の卵を抱えて、男はその日の宿を求めてまた歩き始めた。




おまけ。
傭兵×妖精でおふろにはいろう。びほーあふたー。


びほー。

 ばんばんばんばんばんばんばんばん。ドアをしばきまわす音が鳴り響く。

「りーばーい! いっしょにおふろはいるー!! なんでいつもひとりではいっちゃうのー!? りーばーい!! あーけーてー!!」
「待ってろクソガキ。風呂は常に十八禁だ。お前のトラウマこさえねえようにしてやってんのに何自分からこしらえようとしてやがんだ。ガキがガキの作り方の基礎学科学ぶ気か」

 ばんばんばんばんばんばんばんばん。ドア壊すつもりなのかあのガキは。

「りーばーい! おーふーろー! いっしょー!! あひるちゃんがいやなのー!? じゃあこうしよう? かも! かもならいい? それともはくちょう? わがままはいけないの! それともはしびろこうとかがいい? あ、わかった! ふらみんご! ふらみんごだ! ぴんくかわいいもんね! わかるよ! でもがまんしよう? おとなだもん!」
「そこじゃねえよ脳内花畑…てかハシビロコウて何だ…」
「ねええええええいっしょおおおおおおおお!」
「十年後にな」
「そんなにまてなああああああああああい! からだくさくなっちゃう! くさいこがいいの、りばいは! くさいこをだっこしたいの!?」
「そこじゃねえ。お前何特殊な性癖ひとに付与しようとしてんだ。清潔第一に決まってんだろうが。ぶち棄てるぞテメェ」

 ばんばんばんばんばんばんばんばん。ドアにヒビでも入ってみろ。余計なカネかかる。
 もっとも、カネは唸っている。使い道がないのだ。寝る場所が確保出来ればそれでよく、食事も最低限でいい。食い扶持は増えたがそれほど逼迫させるものでもない。

「待てっつって」

 「るだろうが」、まで言うこともかなわず、ドアを開けてミカサが入ってきた。入浴する気満々で白いシュミーズ姿だった。

「あ」
「あ、じゃねえよ馬鹿」

 湯気をまとい湯を滴らせて立っているリヴァイの後ろ姿をミカサが口をあんぐりと開けて見ていた。

「背中向けてんの幸運だと思えよ。何であとちょっとが待てねえ。お前入れてやるために湯も溜めねえで済ませてやろうとしてんだろうが。あと、ガン見すんな。まだ早え」
「えっと、えーっと、あ、そうだ、おにいさん、おんななかせてるからだしてるね!」
「――オイ。オイオイオイ。テメェ何ってえ言い草だ。どこでそんなの覚えてきた」

 頭痛がする。お前、そもそも出会いがポン引きみてえなんだよ。サマになる台詞おぼえてくるんじゃねえよ…。 

「うけつけのおじさんが、おきゃくさんのかたばんばんたたいていっていた! …だめなの、これ」
「ダメなのはそのクソ親父とお前の残念なアタマだ。……宿変えるか、……」

 リヴァイは濡れた前髪をかき上げながら受付の男をどう殴るかを考える。そもそも、いつのも調子で宿を求めたのが間違いだった。今度からは子供が居ても問題ないような宿を探さなくては。カネを積めばどうとでもなるだろう。
 小さくため息をついた。拾ったものはしょうがない。

「りばい。からだ、いたくない?」
「あ?」

 ミカサと向かい合わぬように身体を捻り腕を伸ばし、タオルを手に取った。

「だって、きずがいろんなとこにある。でもおしりはきれい! とぅるんとぅるん!」
「どこ見てんだよ…」
「いたくない?」
「……ああ」
「ほんとに? がまんしてない? いたいのにわらったりしてない? おとうさんとおかあさんね、すごくいたくてくるしいのに、みかさにだいじょうぶだよへいきだよっていって、そのうち、」

 ミカサを抱き上げた。目に涙を溜めて唇を噛んでいる。泣かないように堪えていた。

「どれも古傷だ。もう痛くもなんともねえ」
「ほんと? うそはだめ。みかさはこどもじゃないの。ごまかしたって、ちゃんとわかるんだから」
 細い腕をリヴァイの首に巻きつけて抱きついてきた。辛い記憶が甦っているのかもしれない。
「なんともねえよ。お前の頭のが重症だ」
「いたいのいたいのとんでけーってしてほしい?」
「だから、もう、痛くねえんだよ」
「よかった…」

 ぽん。ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽん。突然デイジーが降ってきた。室内で。前触れもなく。いくつもいくつも落ちて床に小さな花畑が広がった。

「おはな。あげる。かなしいときはね、きれいなものをみるのがいいの」
「……そうだな、」

 あられもねえ格好して風呂場で女抱くなら、もう少し色気のあるのを頼みてえもんだ。腰に巻きつけたものがすべり落ちないように空いている手で押さえながらリヴァイは思った。



あふたー

「オイ。まだか」
「まだ十五分しか経ってない、と思う!」
「そんだけありゃ十分じゃねえか。だから一緒に入りゃいいって言っただろうが」
「何を言ってるのかわからない。一緒に入る訳がない!」
「昔は俺が入ってるとこ奇襲してきやがったじゃねえか。待ってろっつってんのにドア開けて押し込んできやがった挙句、ジロジロ身体見やがって」
「そ、それは、」

 ミカサは歯噛みしながら髪を洗う手を止めず作業を続けていた。十年も前のことをいまだに持ち出してからかうなど。私の養い手はロクでもない男だった。
 ……確かに、とても腕が立つらしくて、ありとあらゆる国や兵団が高い報酬をチラつかせて仕事の話を持ちかけてくるけれど。傭兵だなんて。危険と隣り合わせ。お金には困ってないのにどうしてそんな仕事をずっと。

 黒髪を丁寧に指で梳る。

「お前、あんまり見るんじゃねえよ。お前の身体についてねえもん知りたかったら大人になれ」

 リヴァイの身体はあちらこちらに傷があった。今にして思えば古い傷であって、かなり薄れてもいたし大仰に目立った訳でもない。どちらかというと肌が白いせいで、引き攣れた痕や無尽に走る細かな傷がどことなく痛々しかった。さらさらの黒髪と不機嫌そうな顔、鋭い目つき。小柄なクセに自分の数倍はありそうに見える男でものしてしまう。誰かと親しく談笑している姿は見たことがない。楽しそう、という概念が抜け落ちたかのように。
 
 あの路頭に迷っていた時は、このひとなら助けてくれるとどうしてか思ってしまった。
 そして、その思い込みはまだ壊されていない。それが、少し腹立たしい。

「お前のあと少してのはいつも先延ばしだな、ああ?」
「だから、今終わると、」

 何故こんなにも明瞭に声が響くのだろう。ミカサは慌てて振り返った。浴槽の中ではうまく身体が動かせずイライラする。

「いい眺めだ」
「!! 出ていって!」
「俺もそう言ったもんだったがな」
「それはそれ! これはこれ!」

 どういうつもりなのか、リヴァイが近づいてきた。浴室の入口はきちんと閉じられている。

「見張ってねえと誤魔化されそうだな」

 壁にもたれてミカサを観察している。

「どうした。とっとと済ませて上がれよ。こっちは待ってやってんだ」

 あの目に見つめられると、自分が護られていると感じることが出来た。見逃すこともなくその腕の届く範囲に自分は在って、何があっても恐れるものがないのだと。

 ざぶりと湯を躍らせて立ち上がった。ミカサはどこを隠すでもなく浴槽を出てリヴァイに近づいた。

「空いた。文句は?」

 湯を弾くなめらかな白い肌がうっすら上気して仄かに染まっている。すらりと伸びた四肢、引き締まりくびれた腰、丸みを帯び豊かに盛り上がる胸。挑みかかるように黒い瞳がきらめく。

「待たせてごめんなさいって態度かよ、ソレが。詫びもねえのか」

 腹立たしい男。その男を選んだ幼い日の自分。何故かなにひとつ間違っていなかったという確信がある。

 ミカサの手がリヴァイのシャツの襟元を掴んだ。

「オイ、お前、」

 大きくもない皮肉げなことばばかりを紡ぐその唇に、ミカサは自分のそれを重ねた。

「……はい。お詫び。まだ文句があるの」

 裸身を翻してドアに向かい、勢いよく開ける。零れ落ちる雫が風呂の湯ではなく自らの肌から放たれるようだった。

「リヴァイの馬鹿!」

 ぱちん、と指を鳴らしてドアを閉めた。叩き壊さんばかりに力を込めて。
 ため息をついてシャツの釦を外し始めたリヴァイの目の前を、赤い薔薇がひとつ落下していったかと思うと、次々にそれが降ってきた。艶やかな色で殺風景な浴室を染め上げてゆく。

「ムダに育ちやがって。美味そうなカラダしてんじゃねえよ」

 薔薇で埋め尽くされた浴槽に足を入れ、頓着無さそうに身体を沈めた。咽そうな芳香に包まれながら、この薔薇を片付けるのは手間がかかりそうだと思った。
 この花はなんだ。悲しいから見たかった訳でも、見せたかった訳でもないだろう。誘うような色と香りで。

 躾が、要るよな。叩き込んでやらねえと。
 リヴァイは愉しそうに濡れた手で髪をかき上げた。 
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2018/02/23 (Fri) 22:07 | EDIT | REPLY |   

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