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黒豹は夜を切り取らない。

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猟奇的なカノジョのカレとその恋人。 ―アクマでも、キミがキライ。Extra 2

Category - Devil I Know
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なによりもあなたにあってふれたいの
すべてあじわってたしかめて


ばかっぽくて可愛いりばみかが書きたくなった。
可愛いミカサに引きずられるリヴァイ、も可。
ヴァレンタインがちょっとぐずついている。
2月中にうp出来なかったらどうしよう。

(こんなもん書いてるからじゃないですかね!)

主にミカサがヘンですw
そしてつられてリヴァイがちょっと壊れましたwww

たまには、ばかわいいふたりもいいかなって(はぁと)。
いやいやいやよかねえよwwww
その部分だけ書いて終わろうかと思いましたが、さすがにヒド過ぎると脳が判断したのか、前後にちょっとあれこれつきました。あれれー?

清掃員さん
:アホの子。みっかが可愛いてしゃーない。
:可愛い恋人がオカルトマニアだったことを思い出す。


ごすみっか
:アホの子。清掃員さんが可愛いてしゃーない。
:元来のシュミと特技がヤバイものを生み出す。


結論:アホの子しか居ない。

もう木っ端微塵にキャラが崩壊したwww
これアカンやつやwwwww

ある意味すごく私らしいおはなしになりました。
これはさすがに支部に上げられないw
「今までのすくかー返して!」って言われたら困るwww

ぶろぐならええんかい、と言われそうですが、
いいのだよ! 私のホームだからな!!(暴論)

とりあえず、一部を占める二人のヒドイやり取りをお楽しみ下さい。
でも、一応、可愛いとこもあると思うので、そちらもゼヒ。

20180120→
stuffed.jpg

「ミカサ。時間、いいのか」
「うん……」

抱きついてくる細い身体を抱きしめながらリヴァイが問うと、ミカサは頼りない声で応じた。

帰る支度が整って、あとは部屋を出るだけ。ドアの前に立つといつもの「儀式」が始まる。ミカサが名残を惜しんでリヴァイに抱きつくのだが、なかなか離れられないのだ。

「私、犬みたい」
「なんだそりゃ」

耳元でミカサが小さく笑い、呼気がくすぐってくる。リヴァイは思わずミカサの耳の端をごく軽く噛んだ。

「ネットで読んだの。犬って、飼い主が仕事に行く時とか、すごくじゃれたり甘えたりして、行かせまいとするでしょ? アレ、行ってらっしゃーい、でもさびしいなあとも違うみたいなの。あの人間にとっては毎日の習慣でしかない出勤なんかが、犬には今生の別れみたいに思えるらしい、って。犬にしてみれば、もう二度と会えないんじゃないかって不安で必死なんだって言うの。行かないで、どこ行くの、やだやだダメ、って。だから、帰ってくると、おかえりおかえりってすごい勢いで喜ぶでしょ」
「……ああ、……」

なるほど。

「私はちゃんと明日もリヴァイに逢えるってわかってる。それなのに帰りたくないなんて、……犬よりダメかも」

ぎゅう、と巻きつく腕に力が込められた。リヴァイはミカサの髪を撫でて頬に唇を押し当てる。

「ごめんなさい。いつまでもぐずぐずしてたら、リヴァイがゆっくり出来ないってわかってる」
「あのな、お、…」 

言い淀むなど。滅多にないことだった。

「何? ちゃんと、言って」
「いい。何でもねえ」
「何でもなくない。言って欲しい。気になって落ち着かない。私には言えないこと?」

食い入るように見つめられて、リヴァイは口から息を吐いた。

「俺も、帰したくねえんだよ。わかれ、それくらい」

面白くもないと言いたげにふいと横を向かれて、ミカサはようやく安堵した表情を浮かべた。言ったら、私がもっと離れたくなくなるって思ったから、言うのやめたんでしょう?

「私、一生ペットは飼えないかもしれない。実は動画も観てしまった。自分が留守の間、どうしてるのかと思って犬にカメラをつけたり、家の中にカメラを設置したひとが結構居るんだけど、……どの子も飼い主が出て行ったドアを悲しげに見つめて家の中うろうろして探し回って、ベッドとか脱いだ服に埋もれたりしてた。あんなの見たら、」
「猫どうした」
「猫もああ見えて飼い主を恋しがるみたい。更に告白するけど、出て行ったドアをじっと見つめたりさびしそうに鳴いてる猫動画も観た。涙出る、アレ」
「そうか。なら俺だけにしとけ」

自分が去った後のドアの前に佇んでさびしげな顔をしているリヴァイ、が思い浮かんだ。ミカサは刹那その妄想に嬉しくなったが、やはり悲しくなってしまった。

「うん。絶対大事にする」
さらさらの髪を両手で梳き、泡でも馴染ませるように包み込んで撫でる。
「アタマ撫でんじゃねえよ。ペットか」
「可愛い。もう、すごく可愛い」
ミカサが両の頬を包んで額やこめかみにキスをした。身長差を特別嬉しいとは思えないのだが、こんな時には役に立つ。
こんなに愛しく思えるひとには、もうこの先絶対に逢えない、と思う。
「どつかれてえのかお前は」
苛立ちを込めて突き放すように言う割に、ミカサの両手をそれぞれ掴み、手の甲や指先に唇を押し当てた。

飼い慣らされたのかもしれない――誰が、誰に?

「こんなに大事なのに離れて過ごすなんてあり得ない。犬のキモチがわかるんだから、私、やっぱり犬かも」
「首輪つけるぞ。猫みてえなツラしやがって」
「もうついてる」

ミカサは自分の右手を見つめた。薬指に、指輪がはめられている。ふだん指に見ることのないそれは、時折ワックスコードを通して首から下げ、見えないように隠している。リヴァイのアパートを訪れた時に、時折頼んで指にはめてもらうのだ。

「もう少し俺の気分がアガるヤツつけさせろ。マッパに鎖付きのレザーのチョーカーとか愉しそうじゃねえか」
「へんたい…」
「雌の猫はな、発情期来たら自分から尻高く突き出して雄を誘うらしい。見習えよ。カワイイと思わねえか。今度やって見せろ。両手両膝ついてな」
「へんたい!!」
「カワイイおねだり出来たら、応えてや」

べふ、とミカサの掌がリヴァイの顔を覆った。

「こんな小せえわっかで俺に繋がれてくれるなんざ、……安いもんだ」
「この素敵な指輪が、安いなんて思わない。リヴァイはへんたいだけど」

ミカサはそう言って性懲りもなくまた抱きついた。

その変態に随分べったりくっついてやがるな、お前は。

「ドア開かねえな」
「開けたくない…」
「…………まあな」

改めてミカサを抱きしめてやると、首筋で悲しげにため息をつかれた。リヴァイは瞼を閉じる。まだ十五、十六の小娘と同レベルなのだから笑うしかない。
ドアのノブにどちらかが手をかけられるのは、あと何分後のことだろう。



ある日、ミカサはキャリーカートを引いて登校した。大きな荷物がある時に活躍するものだ。柩の形をしており、小振りに見えて意外にたっぷりと入る。時に仮装パーティのために縫ったドレス、時にクリスマスを待つためのアドヴェント・カレンダーが詰め込まれていた。
今度は一体何を入れてきたものか。リヴァイは問わずにいた。何となく問うのは躊躇われる。放課後そのままいつものように自分のアパートまで連れてきた。

こういうのも、悪い予感、と呼ぶべきなのだろうか。

ソファに並んで座っていた時だった。ミカサがリビング・ダイニングの入口に置いていたカートを取りにゆき、引いて戻ってきた。ジッパーをぐるりと開き、中に手を入れる。

「はい! これ、あげる!」
「おう…………」

リヴァイは凝固した。目の前には赤ん坊ほどの大きさで、黒髪、黒い瞳、黒いドレス姿のぬいぐるみの人形が差し出されていた。毛糸でつくられた髪は両サイドに結い上げてあり、首にはフェルトや毛糸や羊毛のボールで出来たロザリオやネックレスが下がっている。
固まったリヴァイの膝の上に、ぽふ、とそれが置かれた。

「こりゃあ、一体、……」

何なんだ。

「つくった! 名づけて《ミカサ特製大事にしてくれないと呪っちゃうぞ☆ リヴァイだいすきミカサドール》!!」

何かがひび割れる音が響いた気さえした。リヴァイは動かなかった。手足の動かし方を忘れたのかもしれない。どうにか動かそうとした時に、耳にした気がする。ビキビキと鈍い音だった。
空耳。そうかもしれない。勘違い。それも正しそうだ。

「……オイ」
「なに」

何でこんな時は純粋そうな澄んだ目でヒト見てんだよ。

「お前に俺の年齢言ってなかったか」
「知ってる。もう三十は過ぎてる」
「おう。……ならお前、……お人形はねえだろ、……」
「あ、安心して。ちゃんと私にも対になるリヴァイドールがある! 《ミカサ特製目つき悪いケド可愛いにも程がある! ミカサだいすきリヴァイドール》!!」

ミカサは屈んでバッグを改めて開き、そこから嬉しそうに出して見せた。眉間の皺を再現した不機嫌そうな顔のぬいぐるみが目の前にどーんと現れた。ミカサドールと同じくらいの大きさだった。白のプルオーバーに黒のパンツを身につけている。項の辺りは刈り上げ風に見えるように刺繍が施されており、ご丁寧にもツーブロック・ヘアが再現してあった。よく見れば手首に腕時計をしている。着せ替えると清掃員スタイルにもなるのだとミカサは説明した。カートから小さな衣服を取り出して拡げて見せた。
どうあれ、無駄にクオリティが高い仕上がりである。

「そうじゃねえだろ。そこじゃねえよ。何に安心すりゃいいんだ。不安しかねえぞ」

おかしい。なにもかもオカシイ。リヴァイは眩暈を感じた。

「何が不満?」
「いや、お前がぬいぐるみ抱っこして眠ろうがそりゃ構わねえが、……三十路過ぎた野郎がぬいぐるみって、……」
「そのコ、私の代わり」
「だから、お前抱いて寝るならわかる。ぬいぐるみだろ」
「ヘン?」
「お前の近所のおっさんがぬいぐるみ抱っこして寝てたらどうする」
「どうもしない」
実害が発生しないのに、何の問題があるというのか。ミカサはそう続けた。
「想像してみろ。俺が、ぬいぐるみだぞ」
「……可愛い。すごく可愛い。とても可愛い。写真撮りたい。あ、撮っていい? パジャマに着替えてくれるともっといいカンジ!」
「いい訳あるか。ちょっとした脅迫状つくれるじゃねえか。強請り案件だろ」
「もういい。そんなにイヤなら持って帰る」

ミカサの手が伸びてリヴァイの腕からミカサドールをさらおうとした。それをリヴァイは難なくかわす。
そこで泣きそうなツラするんじゃねえよクソが。

「そこまでは言ってねえだろ。置いてきゃいいじゃねえか」
ミカサドールを肩に載せてホールドし、ミカサの追撃をかわした。
「寝る時抱っこしてくれる?」
「お前な、」
「別に、いいけど、……」

どうせお前アレだろ、俺がお人形抱っこしてんのが面白えとかそんなだろ。
リヴァイは眉間をつまんで揉みしだいた。

「オイ。コレ、……中の綿にお前の血が一滴染み込ませてあるとかねえよな」

言った途端にミカサが恐ろしい顔をした。見開いた黒い瞳が闇を湛えたウロのように暗い。
オイオイオイ、何でお前ホラーなツラしてんだ。

「リヴァイ、鼻が利くの? そんな匂いしてる?」

待て待て待て。ちょっと待て。オイ。…………オイ。

「ガチか」
「そ、そんなことはしていない」

どう見ても「何故バレた」のツラじゃねえか。目ェ逸らすんじゃねえよテメェ。

「じゃあアレか、髪の毛か爪が、」

ホラーっぷりに磨きかかったの何でだ。お前瞳孔開いてねえか。

「そそそそそそそんなことするわけがないリヴァイがなにいってるかわからない」
「オイオイオイ。待て。ちょっと待て」

ミカサはリヴァイドールを抱きしめながら目線を逸らしている。
俺の女はどうなってんだ。オカルトマニアなのは構わねえが、――

「ミカサ。今度は何してんだ」

リヴァイはより更に据わった目でミカサを見つめた。ミカサはどういう訳かリヴァイドールをリヴァイの身体にこすり付けている。

「ただ見せびらかすために持ってくる訳がない! こうしたら、リヴァイの匂いが移るかと思って」
「お前、……ちょいちょい変態が顔出すな」
真剣な顔でぬいぐるみをこすりつけるミカサを呆れたように見つめた。
「だってそうじゃなかったらただのぬいぐるみ!」
言いながら、なおも腕や首筋や腹筋の辺りをぬいぐるみでごしごししている。
「俺の髪の毛でも入れるか」

冷ややかに言った瞬間、ミカサの顔がぱああああと輝いた。

「冗談だ馬鹿野郎」
「いじわる」
途端にそう言ってむくれた。
「いやお前な、……」

可愛い恋人は些か変わり者だった。その可愛さに忘れていたが、なかなかのオカルトマニアで、放課後学校の庭でひっそりと読む本は悪魔や黒魔術に関する本だったではないか。
そこでふと気づいた。

「このぬいぐるみ、……ホントに何か入ってねえか。それとも香水か何かか」
手にしていたミカサドールから、仄かに立ち上る香りを感じた。
「ほんの少し、オレンジスウィートとユーカリの精油を染み込ませてあるの。あとね、中にアメトリン入れたサシェを埋め込んでる。どれも安眠効果があるって言うから」
精油にパワーストーン。いかにもミカサらしい。

「可愛がってくれないと、呪っちゃうぞ♪」

ぬいぐるみを顔の前に掲げ、おどけた口調で言った。そりゃミカサドールの台詞か、それともお前の本音か。

「お前が言うとガチにしか聞こえねえ……」
「呪っちゃうぞ?」
「その目、ヤメロ」

何でそんな虚ろな目ェしてんだよお前は。

「私は、ちゃんとこっちのリヴァイも大事に可愛がるから!」

にこにこ。にこにこ。笑顔の可愛らしさが腹立たしくなってリヴァイは小さく舌打ちした。

「なあ。それ、パンツの中も再現してんのか」
「ぱんつのなか?」
「服脱がせたらついてんのかって訊いてんだよ」
「何が!?」
「ナニが」

ぶわ、と一瞬でミカサの顔が赤く染まった。

「リヴァイのばか!! ばーかっ!! あり得ない! もう、ほんっとに! 信じられない!!!!」
「がっつり見たことねえからつけられねえか。見せてやるか?」

逃げようとしたミカサを両腕で捕まえると、腕の中でぬいぐるみを抱いたミカサがきゃーきゃーと声を上げた。

「今は本人居るだろうが」
「ぬいぐるみはせくはらしない!!」
「あれしきでセクハラか。オイ、覚悟いいか。本気のヤツくれてやる」
十分にセクハラである。わかっているくせに、リヴァイはミカサのブラウスのボタンに手をかけながら耳元でささやいた。
「やだーっ!!」

ミカサは笑っていた。くすぐったさもあるだろう。
こんな風にじゃれていられるのが、単純に嬉しいのだ。言われなくてもリヴァイにはわかった。

わかる理由を教えてやるほどのやさしさはないのだが。

腕の中であらゆる場所にキスをされて、ミカサは満足げに微笑んでリヴァイの肩に顔を押しつけた。

「ふふ。我ながら、よく出来た! 見て、この再現率!」

リヴァイドールをしげしげと見つめて言い放つ。

「ソレに針刺したりすんなよ」
「そんなヒドイこと、する訳ない! ……リヴァイが私をいじめるなら別かもしれない」
「だからその死人みてえな目、ヤメロ……」
「ちゃんと、リヴァイの匂いするといいんだけど」
「……俺は臭うのか」
「もう! すごくいいにおい。くっついてると安心する」

抱き寄せる腕に力を込めると、ミカサもまた顔をぎゅうぎゅうと押しつけた。
まるで飼い主に甘える犬だ。

「家で、…ひとりで泣いてねえよな?」
「…………ナイショ」
「オイ」

手製のぬいぐるみを抱いたシンデレラに、今日もまた帰る時間が迫っていた。

またあした。わかってる。わかってるけど、かえりたくない。

「いいにおい。あったかい」
「ソイツが俺の代理だろ。抱っこして寝てろ。目が冴えるなら電話すりゃいい。何時でもな」
「うん。ありがとう」

また、あした。


「じゃあね、《ミカサ》。リヴァイと一緒に居てあげて。こっちの《リヴァイ》はちゃんと私が一緒に居るから」
「話しかけてんじゃねえよ……。コレ、ヘンなギミック仕掛けてあって、夜に叫んだりしねえだろうな」

ふ、とミカサが笑った。やや黒い微笑だった。リヴァイの眉間にまた深い溝が刻まれた。

「あいむ・ちゃっきー、はいでぃほーお!」

殺人鬼の魂が宿りひとを殺す人形のホラー映画が随分前にヒットしたのだが、その人形が放つコトバをミカサは唱えた。

「だからお前が言うとガチにしか聞こえねえっつってんだろ」

ミカサの黒髪をわしわしと撫で回し、ミカサがまたくすぐったそうに笑う。その唇を、リヴァイがゆっくりと塞いだ。

「すごく贅沢。両手にリヴァイ」
右の手はリヴァイの背に回されていたが、もう一方の手はぬいぐるみを抱いていた。
「両手俺に寄越せ。何でソイツとお前をシェアしなきゃならねえ」

つややかな黒髪を整えながら、不機嫌そうに言った。

「明日また逢えるまでは、仕方ない」
「浮気は感心しねえ」
「してない! このコもリヴァイ!」
「お互いこのトシでおままごとってのはどうなんだ…。ギリセーフなのお前だけじゃねえか」

どうあっても、帰る前には「儀式」が必要なのだろう。すんなりと出ていけたためしがない。

リヴァイの手がドアノブを掴むと、ほんの一瞬ミカサの顔が強張った。

「行くか」
「……うん、」

ミカサが振り返る。ダイニングの小さなテーブルに置かれた自分の「分身」を見つめた。

かわれるものならかわりたい。こうしてここに残れるぬいぐるみが羨ましい。

わかってるの。またあした。

またね。




ミカサは寝る支度を整えると、机の上に置いておいたリヴァイドールを手に取った。

「ぬいぐるみと一緒に寝るって、……何年ぶり?」

笑いがこみ上げた。子供じみた真似をしたものだと改めて思う。抱きしめながらコンフォーター・カバーとブランケットを折り返し、中に身体をすべり込ませた。枕元にはいつものようにスマートフォンを置く。

つくっているのは楽しかった。完成したものを見たくて毎日時間を見つけては針と糸を手にした。ミカサドールはついでの思いつきだった。
リヴァイのぬいぐるみをつくろうと思ったのがそもそも始まりなのだ。一緒に居られない時間があるという事実を忘れるために、良さそうな型紙を求めてネットと店を探し、生地の色合いや質感にもこだわってどれにするか悩み抜いた。
自分の手元にぬいぐるみを置くように、……リヴァイのアパートにも自分のそれを置きたくなった。自分には出来なくても、ぬいぐるみには出来る。一緒に居て、同じ時間を過ごせる。帰る時間など気にする必要はない。

感傷だ。解っている。解っているが、それに浸ることを選んだ。

くだらないことでも、その時の自分にはダイジって、あるでしょ?

自分に言い訳をする。

約束をもらって、指輪をもらって、それでもまだ足りないなんて。ひとはいくらでも貪欲になれるってこういうことなのかも。

ふかふかを、ぎゅ、と抱きしめた。毛糸の髪に鼻を押し付けて呼吸する。

服脱いでもらってごしごしすれば良かった?

自分の考えに殴られて、くらくらした。ぬいぐるみのアタマに顔を押し付けて叫びたいのを堪える。
わたしのばか……!

紅茶の香りと、淡い柔軟剤の香り。でも、あの素肌から感じる心地よいにおいは、何がもたらすものなのだろう。
考えていると、とろとろと意識が蕩け出した。

あのコ、リヴァイに蹴られたりしてないといいんだけど。

わかってる。リヴァイはそんなこと、しない。私がつくったっていうだけで、棄てるだけのものをわざわざ写真に撮って残してくれたひとだもの。

おやすみなさい。また、あした。
リヴァイ。いつもありがとう。だいすき。

おやすみなさい。


シャワーを終えてリビングに戻ってきたリヴァイは、そのまま椅子にどっかりと腰を下ろした。目の前のぬいぐるみをどうしたものか。
あるのは構わない。ミカサの私物も置いておきたいものは持ってこいと言ってある。しかし、……これは。

何かあって誰かに踏み込まれたら、俺はいよいよ変態の烙印押されるな。リアルな頭身じゃねえだけマシなのか。

冷めた目でミカサドールを眺める。店で売られていればそういう商品なのだろうと思うような出来だった。また寝る時間を削ってつくったのだろうか。小さな衣服やアクセサリィもミカサのふだんの姿を思わせた。

おもむろにべらりとスカート部分の布をめくり上げた。

「穿いてんのか」

ご丁寧にもレースまで縫いつけてあるではないか。リヴァイはスカートを戻し、…それをきちんと整えた。

嬉しそうに差し出した時の顔を思い出す。それから、部屋を出る時の表情を。

共に暮らせるようになれば、あんな顔をさせることも減るだろう。そうであって欲しい。
ミカサはそれまでどんなににこやかに振舞っていても、このアパートを出る時だけは辛そうな表情を隠せない。明日また学校で逢えるとわかっていても。

リヴァイはぬいぐるみ同様テーブルの上に置いておいたスマートフォンを持って立ち上がると寝室に向かった。リビングの明かりを消す前に、テーブルの上を見つめる。黒く光るボタンの瞳がこちらを見ていた。

またな。

そのことばは、誰に向けられたものか。ここに居ない少女か、その「代理」なのか。
リヴァイにもわからなかった。


寝室に入るとベッドに直進した。慣れたもので、明かりがなくとも問題ない。ナイト・テーブルにスマートフォンを置き、ブランケットの中にすべり込んだ。シーツのひやりとした感覚が足に触れた。

「可愛がってくれないと、呪っちゃうぞ」

思わず笑いそうになった。暗がりの中でブランケットを肩まで引き上げる。
ミカサの居ない夜の方がはるかに回数を重ねているのに、違和感になるという事実。厄介なものだ。

「そのコ、私の代わり」

枕により頭を強く押しつける。さらりと髪が額を撫でた。ミカサの手ならばもっとやわらかくそっと触れるはずだ。

「明日もリヴァイに逢えるってわかってるのに帰りたくないなんて、……犬よりダメかも」

俺は犬を自分の女にしたのか。

肩に顔を押しつけるミカサは泣きそうな顔をしていた。

「飼い主のそばがいいか」

身体を起こし前髪をかき上げ、ベッドから足を下ろした。ずかずかと歩きリビングに向かった。

――俺はもう戻れねえとこ来てんな。

戻ってきた手にはぬいぐるみがあった。ナイト・テーブルにミカサドールを座らせると改めてベッドに入る。ブランケットを掛け、枕の形を手で軽く整えた。

「……………………わかったよクソッタレ」

ミカサドールをひっつかむとブランケットの中に引き入れた。甘い香りとすっきりした香りが混ざり合ってふわりと拡がった。

乳はねえし尻もねえし、匂いだってお前のがもっと甘えだろうが。どこが代わりだ。

ふわふわとやわらなくどこか頼りない感触だけは、僅かばかり似ているのかもしれない。それでも、やはりあのなめらかな肌をしたまろやかな熱を帯びたからだは、替えの利くものなどではないと実感する。

抱きてえのは人形じゃねえ、お前だ。

リヴァイは声に出さずに悪態をついた。




アパートでお茶の時間になると、ミカサは寝室に行き、ミカサドールを抱いて戻ってくる。にこにこ笑いながらテーブルに座らせると、不機嫌そうな顔でため息をつく恋人が睨みつけてくるのがお約束になった。
持ち込んだ翌日、姿が見えずどこにあるか尋ねても、リヴァイはすんなりとは教えてくれなかった。棄てたのかと問われて持ってきたのだが、リビング・ダイニングから行って戻ってきたのは寝室だったのだ。
ミカサが喜んで抱きついたものの、リヴァイはなかなか顔を向けてくれなかった。

「今度またリヴァイドール連れてきてあげる」

ミカサが得意気な顔で言った。ティ・ポットを傾け紅茶を注ぐリヴァイは、注ぎ終えるとポットをテーブルに置き、ミカサの前にカップを差し出して、言った。

「俺がお前食ってる間、ソイツの相手が必要だしな。好きにしろ」

ぱくぱくと声にならないことばを紡ぐミカサを見て、リヴァイは澄ました顔で紅茶を一口啜った。




リヴァイが手を差し出すと、ミカサの小さな手がそれを握った。二人の足が静かに寝室に向かう。残されたぬいぐるみは窓辺のソファに二体寄り添って、並ぶ背中を見送った。
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2018/02/21 (Wed) 03:38 | REPLY |   

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2018/01/29 (Mon) 19:08 | REPLY |   

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2018/01/27 (Sat) 14:44 | REPLY |   

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